十日目
ぐるぅり、ぐるぅり・・・回る天蓋の下に寝る私は夢を見る。
「頭部」はフロフロと顔を揺らしながら笑っている。
クスリ、クスリと控えめに、しかし嬉しさを隠し切れない、といった様子で。
「約束通りの身体を持ってきたわよ。さぁ・・・教えてちょうだい。鍵の事とか、この世界の事を。」
頭部はクスリ、クスリと笑っている。
「あの丘の教会には・・・この神父様の他にもう一人・・・小さな子供がいたと思うけど・・・会いはしなかったかい?」
私は思案する。・・・確か・・・何か影を見たような気がする・・・。しかし、あれが小さな子供かどうかは分からなかったし、それ以前に影さえ確かに見た、とは言い切れない。
「いいえ。誰もいなかったわ。さぁ、もう良いでしょう?私は“知る”為に身体を持ってきたのよ・・・。約束どおり、教えてちょうだい。」
頭部はクスリ、クスリと笑っている。
私にはそれが少し不愉快に思えてくる。
「そうだね・・・約束だから教えるよ。鍵の事も、この世界の事も・・・。だけど、それを教えてあげるには、まずこの話からしなくちゃいけないね・・・。」
そう言って「頭部」は林檎の木の上へ、上へと駆け上る。どこかに腕が生えているのかと思う位、「頭部」の動きは素早く、瞬く間に木の天辺にまで登っていき私の視界から消える。
私はふと、「騙されたのでは」と不安がよぎるが、ほどなくして「頭部」は再び、私の視界の範疇にまで林檎の木を駆け下りてきた。
口にはボロボロの人形がくわえられている。
不思議な人形・・・。私は薄暗い森の中で思う。
腕のない少年の人形で、足が四本ある。ボロボロの布
切れを纏った少年の人形は片方の耳がもげ、髪の毛には焦げたように繊維の塊が付着している。
「この人形が全ての始まりさ・・・」
「頭部」は喋り始める。
・・・暗転・・・
ぐるぅり、ぐるぅり・・・回る天蓋の下で私は目を覚ます。今日はここまでのようだ・・・。
~つづく~
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.rsst.tv/mt/mt-tb.cgi/234
